著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

残業した夜は早めに寝る 睡眠時間と糖尿病リスクの関係

公開日: 更新日:

 残業時間が多くなると、ストレスから過食に走ったり、睡眠時間が不足したりと、生活習慣が乱れます。この状況が長く続くと、生活習慣病や心臓病など健康への影響も心配になります。

 日本人労働者を対象に残業時間と糖尿病発症リスクの関連を検討した観察研究の論文が、日本疫学会誌電子版に2016年2月3日付で掲載されています。

 この研究では、糖尿病ではない30~64歳の日本人労働者(男性2万8489人、女性4561人)が対象となりました。残業時間の長さと糖尿病発症リスクの関連性の他、月当たりの残業時間が45時間未満、または45時間以上と、1日当たりの睡眠時間が5時間未満、または5時間以上の4つの集団に分け、糖尿病の発症リスクを比較検討しています。なお、結果に影響を与え得る、年齢、性別、喫煙状況などの因子で統計的に補正して解析を行っています。

 平均4・5年間追跡した結果、残業時間の長さと糖尿病の発症リスクには、明確な関連性を認めませんでした。しかし、月の残業時間が45時間未満、かつ5時間以上の睡眠をとっていた集団と比較して、月の残業が45時間を超え、睡眠時間が5時間未満の集団では、糖尿病の発症リスクが42%増加しました。他方、残業時間が45時間を超えていても5時間以上の睡眠をとっていた集団ではリスク増加は見られませんでした。

 残業時間が長く睡眠時間が短い人は、他の生活習慣も偏っている可能性があり、この結果は必ずしも因果関係を示すものではありません。ただ、どうしても残業せざるを得ない時はできるだけ早めに寝るよう心掛け、睡眠時間を十分にとることが大切なのかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝