著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

良い朝食でストレス軽減 食べるか否かより実は内容が大事

公開日: 更新日:

 朝食を食べる生活習慣は健康的な印象がありますが、ただ食べれば良いというものではないかもしれません。栄養的な観点や味などにおいても、朝食の質が低ければ、健康上のメリットや、朝食を食べることに対する意欲も低下してしまうことでしょう。

 環境科学と公衆衛生の国際誌の電子版に、朝食の摂取状況と、健康に関連した生活の質への影響を検討した論文が2018年8月19日付で掲載されました。

 この研究では、スペインに在住し、ストレスやうつ症状を自覚している12~17歳の527人に対して朝食の摂取状況に関するアンケート調査を行っています。朝食の質は「非常に質が悪い」「質が悪い」「質が良い」の3段階で評価され、ストレス状況や抑うつ症状、身体的健康、気分や感情など、健康に関連した生活の質に対する影響が検討されました。

 解析の結果、「朝食を食べる人」と「食べない人」で、身体的健康、気分や感情、うつ症状などに明確な差は見られず、むしろ朝食を食べない人の方がストレス状況は良好であるという結果が示されました。他方で朝食の質については、「非常に質が悪い」朝食と比較して、「質の良い」朝食で身体的健康、気分や感情、知覚されるストレス、うつ症状が統計学的にも有意に良好であることが示されています。

 健康に関連した生活の質を高めるには、朝食をしっかり食べるかどうかというよりは、その食事内容に注目した方がよい可能性が示されています。朝の忙しい時間に質の良い朝食を作ることは難しいかもしれませんが、栄養バランスを考慮した朝食で一日を楽しく過ごせるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較