著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

終末期の父親が震える手で3人の子供たちに書き残した言葉

公開日: 更新日:

 Hさん(男性=当時51歳)が亡くなられて今年で三十三回忌を迎え、奥さんと集まった8人のお孫さんで一緒に撮った写真が、担当医だった私の元に送られてきました。

 お孫さんたちの背丈は奥さんと同じかもっと大きく、高校生か大学生かそれ以上か、皆さんとても頼もしく見えました。奥さんをはじめ、皆さんニコニコされています。 Hさんが生きておられた頃、8人はこの世に存在していません。写真を見て私は「Hさんの心の思い、魂が、33年たって孫たちに継承されている」と思いました。

 Hさんはバリバリ仕事ができる方で、職場のみんなから信頼され、尊敬されていました。ある年、胃の調子が悪くなって7月末に某病院で検査を受け、かねて予定していた黒四ダムへの家族旅行の後に入院しました。

 8月20日に受けた開腹手術では、胃がんは手の施しようもなく広がっていました。当時は本人に病名は告知されていません。その後、がんは肺に進んで呼吸が苦しくなり、9月末には胸水がたまった状態になり「胸膜炎」という診断で私が勤めていた病院に転院されました。胃がんなのに「お腹が痛い」のではなく、多数の肺転移があってがん性胸膜炎で呼吸困難に苦しまれたのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」