膵がん早期発見「超音波内視鏡」だけでなく総合診断が必要

公開日: 更新日:

 EUS―FNAにしても、早期である1センチ前後の膵がんの細胞を2センチ以上離れた胃や十二指腸の中から穿刺して、診断に足る十分な細胞を回収するのはかなり困難です。その成功率はそれほど高くありません。

 ですから膵がんの見落としを防ぎ、膵臓の病変の詳細を知るには造影CTやMRIなど、ほかの画像診断の所見と突き合わせて最終判断することが重要です。現時点ではEUSは補助的診断だと考えます。

 私は日本消化器内視鏡学会認定指導医でもありますが、膵がんの診断はEUSのほかに、ダイナミックCTと「磁気共鳴胆管膵管造影」(MRCP)の所見を総合して行うようにしています。

 ちなみにダイナミックCTとは肝臓や膵臓・胆嚢・脾臓などの病気を診断する際に造影剤を30秒間隔で注入し、その後、一定時間に同じ部分を撮影する検査のことです。造影剤を入れて複数回撮影することで血流の流れや病変と正常組織の造影剤の到達具合を比較して、どういう病気かを診断していきます。

 マルチスライスCTを使うことで、より小さながんまで見つかるようになりました。

 MRCPはMRI装置を使って胆嚢や胆管、膵管を同時に抽出する検査法です。膵臓の前がん病変などを検出するのに特に優れているといわれています。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃