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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

臨床研究では「思い出しやすさ」で結果が歪められる場合も

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 関係を検討するためには比較対照が必須ですが、比較対照があればそれで済むかというと、そんな簡単な問題ではありません。

 前回の「インフルエンザと冷え」の例で、もう一度考えてみましょう。ある日の外来でインフルエンザ患者では50%で冷え体験をし、インフルエンザ以外の患者では25%しか冷え体験がなかったという結果が得られたとしましょう。インフルエンザ患者で冷え体験が2倍だったという結果です。

 しかし、ここには大きな問題があります。インフルエンザにかかった患者さんは、何が悪かったんだろうといろいろ振り返ったりしますから、「何か冷えの体験はありませんか」と聞かれると、そういう体験をよく覚えていて「あります」と答えやすい傾向にあります。

 それに対して、高血圧糖尿病で通院してきた患者さんに冷え体験を聞いても、そもそも関心がないので、とりあえず「ないです」と答える傾向が強いことが予想されます。そうなるとこの“冷え体験”2倍という結果は、インフルエンザと冷えの関連を示したものではないかもしれないということになります。

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