著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

医学誌で研究報告 ヒトは体温が低いほど長生きをする

公開日: 更新日:

 体温というのは、最も簡単に測定できる健康のバロメーターです。人間は体温を一定に保っていて、発熱も低体温も、いずれも深刻な病気のサインです。ただ、この場合の体温というのは、脳や内臓の「深部体温」のことで、通常、体温計で測定しているのは皮膚の表面の温度ですから、そこには決して小さくはない違いがあるのです。

 よく「低体温で心配」とクリニックを訪れる方がいます。「低体温や冷えが多くの病気の原因で健康の敵だ」といった情報がちまたにあふれているからです。しかし、測定された体温が35度を切っていても、それは皮膚の表面が冷えているだけで、ほとんどの場合、深部体温は正常なのです。

 それでは、体温は高い方がいいのでしょうか、それとも低い方がいいのでしょうか? 

 2017年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に、体温と健康との関係を検証した大規模な疫学研究が発表されています。3万5000人以上のアメリカ人を長期間観察した結果、体温が約0・15度上昇すると、1年間に死亡するリスクが、8・4%有意に増加していました。つまり、体温が低いほど長生きという意外な結果です。その原因は不明ですが、体温が高い人は代謝が活発で、それが命を縮める原因のひとつであるのかもしれません。

 体温が低めでも、心配する必要はなさそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋