著者のコラム一覧
奥真也医師、医学博士、経営学修士。医療未来学者

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

米国の乳がん治療は自分で動かなければ主治医も決まらない

公開日: 更新日:

 日本なら、公的保険で精密検査を受けられます。それが無理なら自分でお金を出して受診できます。しかし、米国では一つ一つの医療行為が非常に高額なため、民間保険がカバーしてくれる検査以外を受けることは現実には相当難しいのです。

 日本では、乳がんが見つかればすぐに医師が紹介状を書き、患者の要望を聞きながら、がん治療に詳しい専門医を紹介してくれます。病院に通ってさえいれば、治療は進むのです。

 米国ではそうはいきません。最初に民間医療保険に入った段階で、プライマリーケア医と呼ばれる、日本で言うかかりつけ医のような専門家を探さなければなりません。むろん、Aさんにとっては初めての経験です。リストにあるどの医師の名前も一向にピンときません。会社の人や知人に聞いてみましたが、素人同士の悲しさ、これといって役に立つ助言は得られなかったそうです。Aさんが日本とは全く異なる、「医師探し」に戸惑いと強いストレスを感じたのは当然です。

 治療の段階でも、さまざまな「日本との違い」が現れます。最初は、再検査の病院の決定でした。検診は、プライマリーケア医の勧めで、同医師が所属する医師グループの病院(注:米国では医師グループが病院と契約して医療を請け負うスタイルが多い)で受けましたが、再検査はがんサバイバーの友人から聞いた地域の有名病院を選択したくなりました。粘り強い交渉の末、実現できたのですが、がん検診報告書を再検査の病院に送ってもらうやりとりなどが大変でした。こうした状況は治療が始まっても続いたそうです。

【連載】日本人で良かった!公的医療保険

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