著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

超便利な世の中到来で“普通”の生活が肥満を招く

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 ウニやイクラ、白子やあん肝、筋子など、それらがたくさん取れる地域に住んでいる人や漁業にかかわる一部の人は別にして、昔は「日常的に食べるものではない」というのが共通認識でした。ところがこれも、状況が変わってきています。

 ネットで安く現地から取り寄せられる時代ですから……。また、今は白子とあん肝が大量に入った通称「痛風鍋」を比較的リーズナブルに出す飲食店もいくつかあると聞きます。かつての「たまのぜいたく」が、今やそうじゃなくなってきているのですね。

 さらには、ロボット掃除機が複数のメーカーから発売され、安いものも出ています。普通の掃除機を使って部屋の掃除をすれば多少体を動かしますが、ロボット掃除機を使えば、全く体を動かしません。

 スーパーに買い物に出掛けて、両手に重い袋を提げて帰る……というのも最近は回避可能です。多くのスーパーで宅配サービスを行っていますし、これまたインターネットで取り寄せることもできます。

 外食だって、「ウーバーイーツ」という便利なサービスのおかげで、外に出掛けなくてもOKです。今や買いだめしていなくても、さまざまなサービスを駆使すれば、自宅からほとんど出ないで過ごすことは可能なのです。ただでさえ少ない活動量が、より一層少なくなっていきます。今後、ドローンの買い物代行などが普及したら、どうなるのでしょう。高齢者や歩行が困難な障害者、公共交通網が発展しておらず自宅近くに買い物できるところがない場所に住んでいる人にとっては素晴らしいサービスですが、健康な人にとっては、その便利さが生活習慣病のリスクを高めることにつながりかねません。

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