著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

不要検査で死亡事故 医師の見落とし対策で患者ができること

公開日: 更新日:

 CTと並んでよく使われるのが、MRIです。CTが放射線を利用するのに対し、MRIは磁気と電波で体の内部を調べます。MRIは、被曝のリスクがありませんが、MRIにもデメリットがあります。

 心臓ペースメーカーや人工内耳など金属を装着している人は、検査ができません。くも膜下出血で使われる脳動脈クリップや膝や股関節を治療する人工関節なども、古いタイプはNGですから、確認が必要です。

 どんな検査であれ、100%安全というものはありません。細心の注意が必要であることは言うまでもありませんが、それでも最も怖いのは医療者の見落としです。独協医大のケースも、見落としがなければ、そんな悪夢は起こり得ませんでした。

 胸部レントゲン検査など基本的な画像検査は、各科の主治医が画像を読影しますが、CTやMRIなど高度な検査は、放射線診断医が読影し、報告書を作成します。見落としとは、ほとんどがこの報告書を主治医が見落とすことです。

 日本医療機能評価機構によると、2015年1月1日~18年3月31日の期間で、画像診断報告書の確認不足が37件報告されています。そのうち36件がCT検査によるものでした。

 見落としを防ぐには、患者が画像診断報告書を受け取り、分からない点を主治医に確認するのがよいでしょう。医療データはすべて患者のものですから、遠慮は無用です。

【連載】Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  2. 2

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  3. 3

    マツコが股関節亜脱臼でレギュラー番組欠席…原因はやはりインドアでの“自堕落”な「動かない」生活か

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  1. 6

    5億円豪邸も…岡田准一は“マスオさん状態”になる可能性

  2. 7

    小泉進次郎氏8.15“朝イチ靖国参拝”は完全裏目…保守すり寄りパフォーマンスへの落胆と今後の懸念

  3. 8

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  4. 9

    「石破おろし」攻防いよいよ本格化…19日に自民選管初会合→総裁選前倒し検討開始も、国民不在は変わらず

  5. 10

    大の里&豊昇龍は“金星の使者”…両横綱の体たらくで出費かさみ相撲協会は戦々恐々