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神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

遺伝子の本体「核酸」を用いて遺伝子発現を制御する画期的な薬

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 今回は最も新しい遺伝子治療薬を紹介します。「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」に対する「ビルテプソ」(一般名ビルトラルセン)という薬で、2020年3月に承認されたばかりです。

 筋ジストロフィーは筋肉の壊死・変性が次第に進行していき、筋力が低下することでやがて呼吸ができなくなってしまう、生命を脅かす難病です。いくつかの種類に分類されていて、そのひとつで最も代表的なものがデュシェンヌ型です。根治療法はなく、ステロイド薬での治療が一般的でした。

 DMDは原因となるDMD遺伝子の異常によって、ジストロフィンと呼ばれるタンパク質が作られなくなります。

 ジストロフィンは筋肉細胞の一構成要素で、なくなると筋肉細胞が壊れやすくなってしまいます。この筋肉細胞の変性と破壊は徐々に進行していき、結果的に筋肉が働かなくなってしまうのです。

 ビルテプソは「アンチセンス核酸」と呼ばれる、ある特定の配列を持った核酸(遺伝子の本体)に結合することができる物質です。

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