著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

C型肝炎ワクチンはまだないが、B型は古くから開発されている

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの世界的蔓延によって延期された東京五輪は、ちょうど1年後に開催される予定になっています。

 ただ、新型コロナは依然として世界中で猛威を振るっているため、早急なワクチン開発が望まれています。イギリスや米国、日本でもワクチン開発や臨床試験が進んでおり、早期の承認販売が期待されていますが、ワクチンはどんなウイルスに対しても「できる」というものではありません。

 例えば、肝炎ウイルスの中でも、前回紹介したC型肝炎ウイルスに対するワクチンはできていませんが、B型肝炎ウイルスに対するワクチンは開発され広く用いられています。

 B型肝炎ウイルスのワクチンは1960年代に開発され、1976年には開発者の医師ブランバーグ氏がノーベル医学・生理学賞を受賞するなど歴史は深く、その発明は画期的だったことがわかります。

 B型肝炎は、C型肝炎と比べて慢性肝炎や肝がんといった重症に移行しにくいことから、予防が重要視されていました。とりわけ、主な感染経路である母子感染や乳幼児期の感染を防ぐためにもワクチンの接種が重要でした。日本では、1980年代に始まった母子感染防止事業でワクチンが広く使われ始めたことにより、25歳以下のB型肝炎ウイルスの持続感染者数は世界で最も少ない国のひとつとなりました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」