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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

コロナ禍で注目 がんの「セカンドオピニオン」と「治療選択」

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 新型コロナウイルスの余波で、ほかの病気の治療はどうなるのか。前回は、その点について日米のデータを紹介しながら、考えてみました。その不安が増すようなニュースが報じられています。

 大阪の病院で新型コロナ患者の治療にあたる看護師が不足していることから、がんなどを患う30代半ばまでのAYA世代の専門病棟を一時的に閉鎖し、その病棟の看護師が新型コロナのサポートに回るというのがそれです。専門病棟の患者は全員、別の病棟に移り、治療は滞りなく受けられますが、専門病棟の再開は決まっていません。

 医療体制がますます逼迫したら、私のがん治療はどうなるのか。今回の報道でそう思われた方は少なからずいるでしょう。そこで、私の専門であるがん治療に限って、お話ししましょう。

 まずがんの治療について。大阪のニュースは看護師の不足であって、がんの治療医が不足しているわけではありません。全国的にもがん治療については、今のところ受け入れの余地を残しています。

 思い出されるのは、コロナの第1波が拡大した春に手術などの延期が相次いだこと。前回、今も延期が続いていると書きましたが、その理由は異なります。春は、院内感染予防などによる“やむを得ない延期”だったのに対し、今は患者自らが検診を自粛することによる診断の遅れ↓“自発的な治療の遅れ”。ですから、がん治療は受け入れ余地があるのです。

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