著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

ポビドンヨードうがい薬は新型コロナに有効か 米専門誌で報告

公開日: 更新日:

 2020年8月、「ポビドンヨード」(イソジンに代表されるような、うがい薬に含まれるヨウ素化合物)と呼ばれる消毒成分を含んだうがい薬が注目を集めました。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、同成分を含んだうがい薬でのうがい励行を求める大阪府知事の吉村洋文氏の発言が、さまざまなメディアを通じて報じられたためです。そんな中、新型コロナウイルス感染症患者を対象にポビドンヨードの効果を検討した研究論文が、米国医師会が発行している耳鼻咽喉科専門誌に2021年4月1日付で掲載されました。

 フランスで行われたこの研究では、PCR検査で新型コロナウイルス陽性となった24人が対象となりました。被験者は1%のポビドンヨード水溶液を使ってうがいと鼻スプレーを行い、さらに10%のポビドンヨードを含んだ軟こうを鼻の中に塗布するポビドンヨード使用群(12人、年齢中央値33歳)と、何もしない群(12人、年齢中央値57歳)にランダムに分けられ、ウイルス力価(感染性を持つウイルス量)の変化が比較されています。

 その結果、研究参加者24人中23人が3日目までにウイルス力価が陰性となり、ポビドンヨードを使用してもウイルス量に経時的な変化は認められませんでした。他方で、ポビドンヨードを使ったすべての人が鼻の中の不快なヒリヒリ感を訴え、甲状腺刺激ホルモンの上昇(甲状腺の機能低下を示唆)が確認されました。

 ポビドンヨードによるうがいや鼻への塗布は、一時的にはウイルス量を減らせる可能性があるものの、それが感染力の低下につながったり、感染拡大防止策となり得るのかについては分かりません。当然ながら、新型コロナウイルス感染症の重症化を予防するかどうかについても不明です。

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