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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

5年では不足、「10年生存率」が必要なタイプのがんもある

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 一方、肝臓がんは、5年生存率が44・7%で、10年生存率は21・8%。10年は5年の半分以下と落ち込みが大きい。発症からの年月が延びるにつれて再発が増え、生存率が下がるタイプです。このようながんは、5年を超えて経過観察を続けることが大切でしょう。男性の前立腺がんや女性乳がんも、このタイプです。

 オーストラリアの歌手オリビア・ニュートン・ジョン(72=写真はロイター共同)は2017年、治療から25年を経た乳がんが再発し、予定されたツアーを延期。放射線治療を受けることが話題になりました。私の患者さんでは、34年後に乳がんが再発した方がいます。

 ですから、5年の意味は、がんの種類によっても、患者さんの年齢や立場によっても、異なるのです。今回の10年生存率のデータは特定のがんの早期以外、5年を過ぎても経過観察を続ける必要性を示しているといえるでしょう。実際、私は患者さんを20年くらいフォローして診察しています。

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