激増する「心不全」 原因の発見が根本的治療へつながるか

公開日: 更新日:

 患者数が急増している心不全に対し、画期的な研究結果が発表された。研究を行った熊本大大学院生命科学研究部教授の尾池雄一医師に話を聞いた。

 心不全は、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、徐々に命を縮める病気だ。

「心不全の予後は、がんの予後と変わらず悪く、死亡者数は右肩上がりです」

 心不全には大きく分けて2つのタイプがある。「左室駆出率が低下した心不全=HFrEF(ヘフレフ)」と「左室駆出率が低下していない心不全=HFpEF(ヘフペフ)」だ。前者は複数の薬があり、昨年末も新薬が登場。治療選択肢が増えている。

 一方で、ヘフペフは収縮機能が保たれていることから症状が出にくく、診断には心エコー検査や血液検査が必要で発見が遅れる。そのため、超高齢社会であり、高血圧糖尿病肥満などの生活習慣病大国の日本では潜在的な患者が急増。しかし、有効な治療が確立されておらず、薬の開発も遅れている。

「治療法が豊富なヘフレフにしても、ある段階を過ぎると増悪を繰り返し最期を迎える。回避するには心不全の原因を見つけ、根本的な治療が必要です。着目したのが細胞の生存に必須のエネルギーを産生するミトコンドリアです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」