著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

東ちづるさんは内視鏡で切除 胃がんのセカンドオピニオンは消化器内科で

公開日: 更新日:

 この治療は、外科でも行っていますが、中心は消化器内科。内科医が行える手術の限界を探る治療といっていいかもしれません。

 胃や大腸の壁は、粘膜層、粘膜下層、筋層という3層構造で、がんは最も内側の粘膜層から発生。早期がんの中でもさらに早期の病変なら、内視鏡でカメラと一緒に治療器具を挿入して、消化管の内腔から粘膜層と一緒に粘膜下層を剥離して、病変を一括切除するのが、この治療法です。

 切除といっても、外科医がメスでお腹を開いて行う切除とは全く違います。当然、肉体的なダメージは少ない。

 早期の胃がん大腸がんなどで外科医にメスで行う切除を勧められたら、消化器内科医にセカンドオピニオンを取るのが無難でしょう。そうすると、ESDを提案されるかもしれません。ESDは胃がん、大腸がん、食道がん保険適用になっています。

 検査や受診の自粛によって、がん研有明病院では昨年、胃がんの治療が一昨年に比べて3割減少。最も早期のステージ1Aは半減しています。東さんも受診がもう少し遅れていたら、ESDはできず、開腹による切除になっていたかもしれません。

 気になる症状があるときは、ためらわず受診すること。そして、胃がんや大腸がんなど消化器外科で提案された治療法に疑問があるときは、消化器内科でセカンドオピニオンを取ること。この2つはぜひ頭に入れておいてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    仰天! 参院選兵庫選挙区の国民民主党候補は、県知事選で「斎藤元彦陣営ボランティア」だった

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  5. 5

    ドジャース大谷翔平に「不正賭博騒動」飛び火の懸念…イッペイ事件から1年、米球界に再び衝撃走る

  1. 6

    遠野なぎこさんか? 都内マンションで遺体見つかる 腐乱激しく身元確認のためDNA鑑定へ

  2. 7

    京成電鉄にのしかかるオリエンタルランド株の重荷…物言う株主の揺さぶりには抵抗も厳しい“お家事情”

  3. 8

    近年の夏は地獄…ベテランプロキャディーが教える“酷暑ゴルフ”の完全対策

  4. 9

    今度は井ノ原快彦にジュニアへの“パワハラ疑惑”報道…旧ジャニタレが拭い切れないハラスメントイメージ

  5. 10

    小泉進次郎農相がSNSで難クセ連発の理由…JA会長を名指しで晒し上げ連日大炎上