著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

若者は人間の「生と死」を考えることに飢えているのではないか

公開日: 更新日:

 先日、ある大学の医学部で講義を担当しました。いつもは学生と話し合える楽しみな90分なのですが、今回はコロナ流行のためウェブ講義となりました。残念ながら学生の反応が分からないままに、私の方で一方的に話していく形でした。

 講義の題名は、医療現場の実際から医療倫理について学ぶとして、「がん診療における患者の生と死」というものです。冒頭で「この時間は、教わるとか教えるということではなく、命を、そして死を一緒に考える時間にしたいと思います」とお話しして講義を始めました。

 以前は、講義が終わってからいろいろな質問を受けたり、数人の学生に囲まれての議論があったり、一昨年はその後も個人的に手紙やメールをもらったりしました。今年はそうもいきませんでしたが、それでも10日後には受講生全員から講義の感想文が送られてきました。

 私の講義の主な内容は実際の臨床でのエピソードがもとになっています。

 ある患者は、大学准教授だった頃にたくさんのがん患者のみとりの経験をし、開業後は地区の「死の準備教育」の講師を務めた医師でした。そのため、いざとなっても死を十分受け入れられる、自分の死においては「穏やかな死」で、恐怖を感じることなど絶対にないと確信していました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁