抗体カクテル療法の現状は…いまのところコロナ治療の「切り札」とはいえない

公開日: 更新日:

■感染が増えている若年層には使えない

 新型コロナウイルス、とりわけデルタ株は基礎疾患がない人でも急激に悪化して亡くなるケースが報告されている。軽い発熱や咳といった軽症のうちに重症化するのを防ぐ効果があるのは前進といえるだろう。しかし、コロナ治療の切り札といえるほど劇的なものではないのも事実だ。

「抗体カクテルは発症から7日以内に点滴で投与しなければなりません。8日目以降では有効性を示すデータがないためです。海外では外来による投与が前提になっているのも、発症から早い段階で実施する必要があるからです。しかし、日本では基本的に入院での投与です。厚労省は外来でも使用できるよう検討していますが、投与してから数時間、容体をフォローできる施設に限られます。開業医や小規模な医療機関では実質的に不可能です。現在、コロナ患者を受け入れている医療機関の多くは、重症患者の入院で手いっぱいですから、軽症の患者さんに広く投与されるまでには時間がかかるでしょう。さらに、抗体カクテル療法の対象になる患者さんは、①50歳以上②50歳未満で基礎疾患がある人③酸素投与の必要がない人、とかなり限定されています。現時点では、感染が増えている若年層にはほぼ使えないのです」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???