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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ワクチンの積極的勧奨再開へ…子宮頸がん検診が20歳で始まる意味

公開日: 更新日:

 男性はある意味、“ウイルスの運び屋”ですから、無関係ではありませんし、女性の接種年齢が小6からと若いのは初体験の前に接種しないと効果が少ないから。対象拡大が高3までにとどまるのも性交渉前を意識したためと思われます。

 体の中でがん細胞の“芽”ができて、早期といわれる1~2センチ程度に大きくなるまで10~20年を要します。10代の女性が初体験でHPVに感染したとすると、30代くらいで子宮頚がんを発症することになります。子宮頚がんの発症ピークが30代なのはそのためです。

 胃がん大腸がん肺がんなどは50代を越えて増えますが、女性のがんは若くして発症するのが特徴。乳がんの発症ピークは40代です。子宮頚がんはさらに早く、子宮頚がん検診は20歳から始まり、2年に1回の受診が推奨されます。女性は高校を卒業すると、すぐ子宮頚がん検診が始まるのです。

 困ったことに、子宮頚がん検診の受診率は低く、4割ほど。8割を超える米国やドイツのほぼ半分です。そこにワクチン接種の事実上停止が8年間続き、昨年からはコロナ禍の拡大で受診控えも重なりました。ワクチンを接種していない人、検診を控えている人の間で、子宮頚がんが増えないか問題です。

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