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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ノロウイルス】アルコール消毒では不十分 流水手洗いが重要

公開日: 更新日:

 今回はノロウイルス感染症の「感染対策」についてお話しします。

 新型コロナウイルスのパンデミックにより、いまや日常的に行うようになったアルコール消毒ですが、消毒に用いる70%エタノールは幅広い細菌とウイルスに有効とされています。

 ウイルスには「エンベロープ(envelope)」と呼ばれる外膜を持つものと持たないものがあり、エンベロープの有無が消毒薬抵抗性に大きく関与しています。エンベロープはその大部分が脂質でできていて、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどエンベロープを持つウイルスは、エタノールのほかにせっけんや台所用洗剤といった界面活性剤でも破壊することが可能です。

 では、ノロウイルスはどうでしょうか。実はノロウイルスはこのエンベロープを持っていません。そのためアルコール消毒への抵抗性が高いことが知られているのです。類縁ウイルスの実験結果などから、アルコール消毒が完全に無効というわけではなく、「効きにくい」といったところが正しいのではないかと考えられています。

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