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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【オウム病】「鳥との接触があったかどうか」が参考になる

公開日: 更新日:

「オウム病」は、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)という細菌の仲間による感染症です。オウム病クラミジアはインコやハトなど鳥の体内に生息し、糞と共に体外に排泄されます。糞が乾燥するとオウム病クラミジアが空気中に漂うようになり、ヒトはこれを吸い込むことから感染します。また、口移しで鳥にエサを与えることでも感染するケースがあります。

 オウム病の潜伏期間は1~2週間で、急激な高熱と咳が表れて発症します。軽い場合は一般的な風邪程度の症状で済むのですが、高齢者では重症化しやすいため注意が必要です。

 発症前に「鳥との接触があったかどうか」が診断の参考となります。病原菌であるクラミジアはレジオネラ菌やマイコプラズマと同様に、ペニシリン系やセフェム系といった抗菌薬が無効であるため、治療にはテトラサイクリン系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬などが用いられます。

 オウム病の報告は、ここ数年、年間10件前後の報告にとどまっています。実際には軽症だったため報告されていない潜在症例もあると思われますが、年々減少傾向です。ペットとしての鳥の飼育数の減少などが関係しているのかもしれません。

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