著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

大統領選挙はストレス大で心臓に悪い? 米国医学誌で報告

公開日: 更新日:

 米国心理学会が行った2017年の調査によれば、将来に対する漠然とした不安や政治情勢は心理的ストレスの主要な原因であることが報告されています。2020年の調査ではまた、政局を大きく左右する米国大統領選挙も国民に大きなストレスをもたらすことが報告されました。

 心臓病の発症には、生活習慣のみならず、居住環境や心理的ストレスの影響も強く受けることが知られています。しかし、政治的なイベントが心臓病の発症リスクにどのような影響を与えるのかについて、ほとんど研究が行われていませんでした。そんな中、2020年11月3日に行われた第59回米国大統領選挙と心臓病リスクの関連性を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに2022年4月1日付で掲載されました。

 この研究では、選挙当日に18歳以上だった639万6830人(女性53.5%、18~54歳が62.1%)が解析対象となりました。心臓病(急性心筋梗塞、心不全、脳卒中)による入院について、大統領選挙が行われた14日前から5日間と、選挙の翌日から5日間の入院率が調査されています。なお、入院率は人口10万人当たりの年間発生件数に換算されて比較されました。

 その結果、心臓病による入院率は、選挙14日前から5日間で648.0件だったのに対して、選挙の翌日から5日間では760.5件と、選挙前と比べて選挙後で17%、統計学的にも有意に高いことが示されました。心臓病の中でも心筋梗塞による入院が多く、その発生率は選挙前と比べて選挙後で42%高いという結果でした。

 論文著者らは「世間が広く注目している政治的イベントの開催時には、心臓病の発症リスクに留意し、リスクを低減させるための対策が必要である」と結論しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する