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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

近づく最期…患者への一番の治療は家族がそばにいること

公開日: 更新日:

 在宅医療を始められる患者さんの事情はさまざまです。ですが、みなさん共通してあるのは自宅で気兼ねなく最期の時を迎えたいという思いではないでしょうか。

 その患者さんは55歳の女性の方。8年前に右胸に早期乳がんが見つかり、手術でがんを切除。一般的に手術でがんを切除できた場合、5年間再発が見られなければ「完治」とされますが、乳がんはタイプによって切除後5年以上経っても再発のリスクが高い。この女性は、再発抑制のために抗がん剤やホルモン療法を受けていたにもかかわらず、骨、肝、肺、リンパ節への転移が見つかりました。

 さらには、がん転移の方によくみられるがん性胸水に。これは胸腔内に液体が貯留した状態で、そのために通院が困難となり、入院も検討されたのですが、ご家族で話し合った結果、自宅で在宅医療を選ばれたのでした。

 初めて訪問した時、同居している娘さんが、戸惑いを隠せない様子で言いました。

「予後が何カ月とか病院では詳しい話は聞いていないんです。ただ、とにかくもう治療はできないと言われました。病院で痛みを和らげたりする緩和ケアも考えたのですが、本人の希望で在宅にしました。ベッドが自宅に入ったのは昨日。結構バタバタでした」

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