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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

前立腺がんは遺伝子変異が関係?予防的摘出も W杯オランダ代表監督は放射線で克服

公開日: 更新日:

 前立腺がんは、細胞を採取して調べる悪性度によって、低リスク、中リスク、高リスクに分かれます。中リスクと高リスクでは、放射線治療の前にホルモン治療をプラス。ホルモン剤は3カ月に1度の注射ですから、これも通院の負担は少ないでしょう。

 気になる医療費は、手術が約150万円で、38回照射の放射線が約120万円になります。5回照射だとさらに安く、約63万円です。患者さんの自己負担はそれぞれ1~3割になります。高額療養費制度も使えるので、費用面でも5回照射にメリットがあるでしょう。

 さて、前立腺がんは、遺伝の影響があることが分かってきました。米国の研究によると、父親や兄弟など前立腺がんの人が1人でもいる男性は、1人もいない人に比べて前立腺がんになるリスクが2倍、2人いると同5倍になるという報告があります。

 このような家系では若くして発症することもあるため、40代から血液検査で前立腺がんの可能性を調べるPSA検査を受けておくことをお勧めします。

 米女優のアンジェリーナ・ジョリーは、乳がん予防で両方の乳房を、卵巣がんの予防で卵管と卵巣を切除しました。乳がんや卵巣がんとの関係が指摘されているのがBRCAという遺伝子の変異で、実は前立腺がんとも関係がありそうで、転移がある前立腺がんの6%には、この遺伝子変異があるとされ、予防的前立腺摘出も行われているのです。

 家系にこれらのがん患者がいる場合は、男性も遺伝子検査が必要かもしれません。

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