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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

自宅で過ごす大切な時間を積極的に充実したものにしたい

公開日: 更新日:

「吐き気止めもまた出しておきますね、病院でもらったやつより多めに」(私)

「まだ生きられる?」(患者)

「生きられますよ、ある程度、飲んだり食べたりしたら」(私)

「ホントかしら。あと排便ね。看護師さんに浣腸してもらったけど出なかった」(患者)

「出なくていいですよ。食べてないから」(私)

「ご飯粒一粒も食べてない。ちょこっと食べたいなって」(患者)

「ちょこっとならいいですよ」(私)

「わたしは元に戻るんですかね」(患者)

「はい、それはゆっくり」(私)

 ご自身に残された時間に限りのあることは覚悟しながらも、自宅で過ごす大切な時間を、積極的に充実したものにしようとしている--。

 そんなご様子に接し、どんな患者さんの小さな思いにも、できるだけ寄り添いサポートしよう。それが在宅医療に求められるもっとも大切なニーズなのだと、思いを新たにしたのでした。

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