がん治療でよく耳にするが…「病理学」って一体何のこと?

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【Q】60代男性です。定年になり、好きな読書に励んでいます。先日、「白い巨塔」(山崎豊子著)という小説を読み返しました。そこに登場する病理学者の大河内教授が「医学とは病理から出て病理に帰する」という発言をしていました。これはどういう意味なのでしょうか? がん治療でよく耳にしますが、そもそも病理学とはどういう学問なのですか?

【A】 懐かしいですね、「白い巨塔」。私も昔、読みました。一時、私ががん治療に身を投じたのはこの本の影響かもしれません。

 さて、人は体の構造、機能、代謝などが正常範囲を逸脱したときに病気になります。病理学とは病気の原因とメカニズムを究明する学問のことです。病気になった患者さんの体に生じている変化がどのようなものであるか、を研究します。具体的には、細胞、臓器、組織の標本を肉眼もしくは顕微鏡などで検査して、病気になったときにどのような変化を遂げるのかを調べるのです。むろん、その究極の目的は有効な病気の予防策や治療法をつなげていくことです。つまり、病理とは医学の基礎(研究)であり、臨床(治療)に橋渡しする存在ということになります。

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