著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

なるべく楽に最期を迎えられるようお手伝いをしてもらいたい…末期がんの夫と暮らす妻の思い

公開日: 更新日:

「特別なことはせずに、普通の日常を過ごそうと思っています。今日の午後、いろんな方に来ていただきます。明日は意識が朦朧とするかもしれませんから」(妻)

「耳は聞こえていることが多いですよ」(私)

「じゃあ、めったなことは言えないですね(笑)。楽しく過ごします」(妻)

 別れを受けいれられたご家族の、前向きな明るさに私たちスタッフは救われています。

 普通は、呼吸の状態が悪くなって動けなくなってくる様子があると、週から日の単位になります。ただ、見極めが難しいところもあります。

血圧が高くなってきたり、おしっこが出なくなると、もうこれが時間の問題になってくると思います。そのようなことは今のところないですが、それでも恐らく12月を迎えるのが難しいのかなと。人生に1度しかないお別れの期間ですので、言いたいことを全部言えたな、できたなってことを後から思えるように過ごしていただければ、それだけで満点です」(私)

 このやりとりから1カ月余りで、患者さんは旅立たれて行かれました。残された奥さまのやり終えたというすがすがしい様子に、私たちは勇気をもらったのでした。最愛の方と過ごす大切な時間を最期まで満点を目指してサポートする。これもまた在宅医療の大切な仕事なのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった