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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

統計学的に「正しい」が薬を飲む「正しさ」にはつながらない

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 インターネットの普及は、何か調べたいと思えば、だれでも調べられる世界を実現した。その半面、情報が多すぎてどうにもならない状況も生み出した。情報がないよりはましかもしれないが、まったく正反対の情報がどちらもいかにも正しいかのように流されると、情報がないほうがいいのではないかという気もする。

 多くの情報の中から「正しい情報」を得ることはそれほど簡単ではない。ただ、薬やワクチンの効果についての「正しい情報」「正しくデザインされたランダム化比較試験の結果」、さらに「質の高いランダム化比較試験のメタ分析の結果」と言えば、統計学的には「正しい情報」ということになる。

 私が医者になった40年近く前の、高齢者の上の血圧だけが高い高血圧患者に対する降圧薬の効果についての正しい情報は、今から振り返れば「上の血圧が高い人ほど脳卒中が多いことは示されているが、それを降圧薬で下げて脳卒中が予防できるかどうかを検討したランダム化比較試験はない」というものであったが、それにもかかわらず、その時点で多くの患者が降圧薬を飲んでいた。

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