認知症になるとあることないこと「作話」をするのはなぜ?

公開日: 更新日:

 実際、私が診た患者さんに失禁で汚した服をタンスの奥にしまい込む方がいて、濡れた服を家族が見つけると、本人は「水をこぼしただけ」「洗濯していただけ」と言ったあと、今度は「私じゃない、ヘルパーさんが入れたんじゃない?」と取り繕おうとします。他罰的な態度に、家族は振り回され疲れてしまう。しかし、認知症の方は家族にわざと嫌がらせをしているのではなく、作話を通して記憶障害を補おうと自分自身を守ろうとするのです。

 家族は否定も肯定もしないことが大事です。否定すると本人は不安感や孤独感が増し、認知症の症状がより進行する恐れがあります。「ウソをつかないで」と、責めたり追及するのも厳禁です。その時起きた出来事は記憶できなくても、感じた感情はずっと記憶されます。新しいことを覚えるのは脳の海馬と呼ばれる部位です。この海馬が萎縮するのがアルツハイマー型認知症。具体的に解明されていませんが、感情は海馬と違う場所に保管され、記憶に残り続けると推測されています。

 患者さんが、「お金を盗まれた」と訴えられた場合には、「心配だよね」「悲しいね」と、盗まれたと思い込み不安を感じている点だけに強く同意をしてください。そこで「私は味方だよ」と笑顔で接して、私も一緒に捜すの手伝うよと笑顔で味方アピールをすると、認知症の方は安心して落ち着きます。「昔は大女優だった」のような自慢話には、「そうだったかしらね」と否定もせず肯定もしないことがよいと思います。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景