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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

在宅医療開始初日に…「長いお付き合いになると思っていたところでした」

公開日: 更新日:

「はい、もういつでもお願いします」(妻)

「訪看の方も同席させていただきます」(訪看)

 電話が訪看さんから私のところにきたのは、その日の夕方のことでした。

「先ほど診察していただきましたが、先生方が退出後にバイタル測定不能になっています。待機でよろしいでしょうか?」(訪看)

「お願いします」(私)

 そして折り返しの電話で、奥さまにも代わっていただきました。 

「訪看さんから状態をお伺いすると、厳しい状態が近づいてきているかなと思います。ご家族の方はお声掛けしていただいて、そばに付き添っていただければと思います」(私)

「瞳孔散大、30秒に1回の呼吸です。あ、今呼吸が……」(訪看)

「向かいます!」(私)

 私は急ぎ自宅に到着し、死亡を確認しました。

「長いお付き合いになると思っていたところでした。先生にはありがとうございました」(妻)

 こういうときはいつも医師としてもう少し何かしてあげられなかったかなと振り返り考えてしまいます。答えはありませんが、考え続けることに意味があると思います。

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