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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【クロストリジオイデス・ディフィシル感染症】再発を起こりにくくする2つの治療法

公開日: 更新日:

 前回、抗菌薬の投与が原因で下痢などを起こすクロストリジオイデス・ディフィシル感染症は「再発しやすい」とお話ししました。

 この原因はいろいろ考えられるのですが、よくみられるのは「治療薬の投与日数が短すぎる」というケースです。治療の途中で下痢症状が改善したとしても、バンコマイシンなどの治療薬は10~14日間続けるのが基本なのです。他にも抗菌薬により一度撹乱されてしまった腸内の常在細菌叢は、回復までに月単位の時間がかかってしまうことも、再発を起こしやすい原因のひとつです。

 このように再発を繰り返すクロストリジオイデス・ディフィシル感染症に対して、最近、話題になっている治療法があります。ひとつは「フィダキソマイシン」という抗菌薬です。フィダキソマイシンによる治療ではバンコマイシンによる治療と比べて、再発が少ないというデータもあります。

 もうひとつは「糞便移植」です。健康な人の便に含まれている腸内細菌を病気の患者さんに投与する治療法です。撹乱されてしまった腸内細菌のバランスを整えるために健康な人の便を腸内に移植する、といった考え方です。ちなみに便を直接移植するのではなく、便を生理食塩水と混合し、撹拌濾過した液体を内視鏡を使って大腸に散布します。

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