著者のコラム一覧
近藤一博東京慈恵会医科大教授

大阪大医学部卒。近著「疲労とはなにか」(講談社)

疲労の謎がここまで分かった(1)疲労の程度は唾液で測定できる…ヘルペスウイルスの数でわかる

公開日: 更新日:

 では、私たちが仕事などで疲れているとき、その疲労の度合いがどれほどなのか、正しく測定するにはどうしたらいいのでしょうか。実は、疲労の度合いは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかります。

 われわれは、ヒトに感染するヘルペスウイルスの中で6番目に発見された「ヒトヘルペスウイルス6」(HHV-6)に注目しました。HHV-6は、ほぼすべての赤ちゃんが幼児期に親やきょうだいを経由して感染し、突発性発疹という病気を引き起こすウイルスです。その後、ほぼ100%の人の体内で一生涯、潜伏感染をつづけます。

 ヒトの体内に潜伏している、このHHV-6は、「残業がしばらくつづいた」といった中程度の疲労によって「再活性化」し、唾液中に放出されます。実際、デスクワーカーの勤務、運動選手の練習といった労働や訓練をした人の疲労の度合いを調べた結果、それらによる疲労が、唾液中のHHV-6の量で測定できることがわかりました。

 なぜ、疲労するとHHV-6は活性化されるのでしょうか。もし、潜伏している宿主が死んでしまうと、HHV-6も道連れになってしまいます。そこでHHV-6は、宿主が死ぬ前に再活性化して、元気な宿主(多くは新生児)に乗り換えようとします。HHV-6は、宿主の疲労を感じ取っているということです。

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