著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

訪問診療をキャンセルされることもたびたび…誰とも話したがらない63歳男性

公開日: 更新日:

「痛い、何やってんだよ」(患者)

「調子はいかがですか?」(私)

「悪いに決まってんだろ」(患者)

血圧測ってもいいですか?」(私)

「嫌だって言ってるでしょ!」(患者)

 お別れが近づいている時、身近な人に弱っている姿を見せたくない、心配をかけたくないと、診療を拒否し、家族を近づけない患者さんがいます。その患者さんは、糖尿病の3大合併症とも言われる糖尿病腎症、そして急性化膿性骨髄炎を患う63歳の男性。急性化膿性骨髄炎は、骨髄の中に黄色ブドウ球菌などが入り込むことで炎症が起こる病気です。足が壊死し切断すべきとなったが拒否され、足のケアができる当院へ相談が寄せられたのでした。

 入院していた病院から引き継いだ情報によると壊死している足を切断した方が生存率は上がると説明済み。しかし本人が頑として首を縦に振らないとのこと。急変時の心肺蘇生も希望していないと書かれていました。

 退院後しばらくは、患者さんは透析のために別のクリニックに通い、当院では足のケアや疼痛(とうつう)コントロールを担当。ところが状態が悪くなるにつれ、透析のクリニックに通えなくなり、痛みを取り除く治療がメインとなったのでした。ですが診察に伺っても冒頭のように終始不機嫌で、コミュニケーションが成り立つ状況ではありません。だれとも話したがらず、痛みがひどいからと診察をキャンセルされることもたびたびありました。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い