糖尿病と認知症を合併した親の血糖値コントロールはどうすればいい?

公開日: 更新日:

 認知機能が低下している場合、服薬管理がしやすいように薬の数や服薬回数を減らすといった「治療の単純化」を行います。以前からインスリン治療を行っている人で、注射はできるが打つタイミングを把握しづらい場合は、家族が声かけを行うことがあります。訪問看護を利用して、週1回の投与が可能なGLP-1受容体作動薬などを注射してもらうこともできます。内服や注射の管理が難しければ一度かかりつけ医に相談してください。

 デイケアへの通所もお勧めです。血糖値や認知機能の改善には運動が有効とされますが、認知症があると自発的に取り組むのは難しい。デイケアでは理学療法士の指導のもと筋トレを含む運動やリハビリを受けられるので、介護保険サービスを積極的に利用しながら、週に2回程度通うといいでしょう。

 なかでも注意したいのが食事制限です。認知症と糖尿病を合併した方を介護している家族は血糖値を気にして、つい過度なカロリー制限を行っているケースも少なくありません。「食べる」ことは最もヒトの心を満たす重要な行為なので、その機会を奪い取ってしまうと精神的負担から認知症の症状が悪化する恐れがあります。血糖にこだわり過ぎず、週に何回かはおやつの時間を設けるなど、本人にとって満足感が得られる食事を心がけてください。

▽荒木厚(あらき・あつし)1983年京都大学医学部卒業、95年ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ留学、2019年東京都健康長寿医療センター副院長を経て現在の東京都健康長寿医療センター健康長寿医療研修センター長を務める。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  2. 2

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  3. 3

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  4. 4

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  5. 5

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  1. 6

    高市首相「議員定数削減は困難」の茶番…自維連立の薄汚い思惑が早くも露呈

  2. 7

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 8

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然

  4. 9

    高市首相は自民党にはハキハキ、共産、れいわには棒読み…相手で態度を変える人間ほど信用できないものはない

  5. 10

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗