著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

「ポリファーマシー」を勘違いして必要な薬まで減らされている患者もいる

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「ポリファーマシー」という言葉を聞いたことがあるという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。ポリファーマシーとは、「医薬品を多剤服用しており、かつ害が生じている状態」と定義されます。高齢者の3分の1は薬物有害事象を有しているといった情報や、6剤以上で薬物有害作用出現頻度が上昇するといったデータなどから、一般にも広く認知されるようになりました。

 しかし、このポリファーマシーについての勘違いも増えています。医療者も含め、単に「服用する薬剤数が多い状態」と思っている方が多いのです。ポリファーマシーは、「服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、誤薬、服薬アドヒアランス(患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受けること)低下などの問題につながる状態である」と定義されています。薬物有害事象があれば6剤以下でもポリファーマシーですし、薬物有害事象がなければ6剤以上でもポリファーマシーではないのです。

 この勘違いによって「多剤服用は悪」と一方的に決めつけ、必要な薬まで減らしてしまうといった事案を見かけることもあります。たとえば、ポリファーマシーということで血圧の薬を中止され、血圧が200/100㎜Hgまで上がっていた患者さん、痛み止めを必要以上に減らされて痛みがぶり返してしまっている患者さん、絶対に必要だと思われるパーキンソン病の薬がなくなっている患者さんまで見かけました。

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