著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

貧血に使われる「鉄剤」は副作用を防ぐために多めの水で服用

公開日: 更新日:

 貧血の中で最も一般的なのが「鉄欠乏性貧血」です。その名の通り、体の中の鉄が少なくなることで貧血になる疾患です。治療には「鉄剤」と呼ばれるクスリが用いられ、高齢者はもちろん特に女性で使われている方もいらっしゃるでしょう。

 そもそも、鉄が少なくなるとなぜ貧血になるのでしょうか? 血液にはヘモグロビンという色素が含まれていて、呼吸で体内に取り込んだ酸素を体のすみずみに運ぶ役割を持っています。ヘモグロビンは体内で生成されますが、その際に材料となるもののひとつが鉄で、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなってしまい貧血になるのです。そのため、貧血が進むと酸素が運ばれにくくなり、息切れ、動悸、めまい、ふらつきといった症状が現れます。

 ヒトは鉄を体外に排出する経路を持ち合わせておらず、鉄は体内で永久にリサイクルされるため、理論上では欠乏することはありません。しかし、物事はそんなに単純ではなく、出血や粘膜の脱落などで鉄が失われることがあります。通常であれば、食事に含まれる鉄を摂取することでバランスを保てるのですが、失われる分が多くなると鉄欠乏性貧血になる場合があるのです。

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