長寿研究のいまを知る(9)長寿におけるmTOR阻害薬とカロリー制限の関係

公開日: 更新日:

 短期間「ラパマイシン」と呼ばれるmTOR阻害薬を使うと寿命が延長することは、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウスなどでの複数の実験で証明されている。では、ヒトではどうか?

 そのものズバリの研究ではないが、興味深い研究結果が2014年に発表された。海外論文で、ラパマイシンの誘導体(有機化合物の母体部分はほぼ同じで、一部分だけが異なる物質)である「エベロリムス」と呼ばれる薬を66歳以上の人に少量投与したところ、インフルエンザワクチンに対する反応が20%改善されたことが報告されている。

 18年にはそれに続く研究結果が公表された。健康な65歳以上の高齢者264人を対象に、ラパマイシンの誘導体を含む2種類のTOR阻害薬を6週間投与。内容量と阻害薬の組み合わせにより5群に分けて1年間観察して比較した。ラパマイシンの誘導体と別のTOR阻害薬を併合して投与した群は、風邪などの呼吸器疾患を40%減少させ、インフルエンザワクチンによる抗体産生能が上昇したという。

 ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言