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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

ヒトパピローマウイルスへの感染で男性不妊になる? 微生物学専門誌で研究報告される

公開日: 更新日:

 HPV(ヒトパピローマウイルス)は、主に性交渉で性器に感染し、子宮頸がんの原因となることで知られているウイルスです。その予防のためにHPVワクチンの接種が、主に10代の女性を対象として行われています。

 しかし、HPVは女性にだけ感染するわけではありません。男性の感染も、尖圭コンジローマと呼ばれる皮膚のできもの、喉や肛門などのがんの原因になることが分かっています。そのため、任意接種ではあるものの、男性でもHPVワクチンを打つことが出来るのです。

 HPVの感染が、体に与える影響はそればかりではありません。じつは男性の精液に、HPVウイルスの遺伝子が検出されることがあるのです。 今年の微生物学の専門誌に、それについての興味深い研究結果が報告されています。泌尿器科などを受診した205人の男性の精液のサンプルを解析したところ、そのうちの19%の精液でHPVの感染が確認されました。がんの原因になることが多い「高リスク型」と呼ばれるHPVに感染している男性は、感染していない男性と比較して、精子の壊死などの比率が高く、精子の機能が低下している可能性が示唆されました。

 今回の機能低下は軽微なもので、それが男性不妊に結び付くとはまだ言えませんが、HPV感染の予防は、健康な男性機能の維持のために必要であるかもしれないのです。

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