(10)糖尿病薬「メトホルミン」が抗老化薬として注目されるワケ

公開日: 更新日:

 AMPKは、細胞内でエネルギーが足りなくなると、それを察知してエネルギー産生に関わる酵素のスイッチをオンにする作用があり、燃料センサーと呼ばれている。AMPKはエネルギーの減少を察知し、エネルギーを増産する一方で消費の抑制を促し、インスリン抵抗性を改善する働きがあるともいわれている。

「AMPKは細胞内のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド=エネルギー産生に必要な補酵素で加齢と共に減少)濃度を高め、現在まで7種類発見されている長寿遺伝子『サーチュイン遺伝子』のひとつの活性を高めます。さらに、ミトコンドリアの数を増やしたり、がん細胞の代謝を抑えるといったことが研究報告されています。しかも、AMPKは肝臓や心臓、視床下部など多くの器官を成す細胞内に存在しており、その活性はさまざまなメリットを生み出すことが明らかになりつつあるのです」

 2023年には、米国のユタ州立大学がメトホルミンに筋肉の回復を活性化する作用があるとの研究成果を発表している。研究グループは、60歳以上の健康的な男女20人を対象に比較試験を実施。5日間の安静期間の後、10人にメトホルミンを投与し、残り10人に偽薬を投与した。結果、投与群は筋肉の萎縮が少なく、炎症を示すマーカーが低下し、筋線維化を促すコラーゲンの沈着が少なかったという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動