(12)両親と叔母への罪悪感で追い詰められていった

公開日: 更新日:

 母が熱中症で運ばれた救急医院の退院日から認知症専門医院の初診日まで、10日間の空白が生まれることになった。父は体調を崩し、自室でずっと寝ている。2020年の8月はコロナ禍で、東京に住む私は実家に行くこともできなかった。母に絶対に接触してはならない、そうしないと診察を受け付けないとS認知症専門医院に言われたからだ。

 そこで、母の妹である叔母たちに相談すると、助け舟を出してくれた。朝昼晩と順番に実家に通い、母の世話をしてくれることになったのだ。

 叔母たちから電話がかかってきても、母の様子はまったく良いようには思えない。何もできずに連絡を待つだけの私は、両親と叔母たちへの罪悪感でどんどん追い詰められていった。

 しかし何もしないわけにはいかない。母がレビー小体型認知症だろうということはほぼ確実だと思ったので、私は調査を始めた。編集者である私は、あるテーマについて調査をし、その分野を一定程度まで理解するということが得意だ。

 熱中症で救急搬送されたA救急病院で「入院当初の『せん妄』はなくなった」と言われ、退院した母。確かに、熱中症でせん妄状態になることはあるようだ。そういえば、母はエアコンをつけていなかった。そしておそらく、ろくに水分を取っていなかった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘