(12)両親と叔母への罪悪感で追い詰められていった

公開日: 更新日:

「だから、私におかしな電話をかけてきた時は、脱水によるせん妄状態だったのではないか。母は本当は認知症ではないのではないだろうか」

 そう信じたい気持ちはありながらも、叔母たちからの報告は決して良い内容ではなかった。

「好みの食べ物を準備していったら、やっと一口だけ食べたよ」「お風呂に入らないから、お湯を持っていって体を拭いたよ」「私の体の中からコロナが生まれて世界中に広がったから、世間に迷惑をかけていると言っているよ」

 何よりも、その年の前半に、早朝から深夜まで叔母たちに順繰りに電話をかけては「さびしい、さびしい」と言って切ろうとしなかったという母が、能面のような無表情でほとんど口を利かず、トイレまで小股で歩いて行くのがやっとだという報告は胸が苦しかった。調べた症状がぴったり当てはまっていたからだ。やはり、母はレビー小体型認知症だと認めるしかないのだろうか。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」