(12)両親と叔母への罪悪感で追い詰められていった

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「だから、私におかしな電話をかけてきた時は、脱水によるせん妄状態だったのではないか。母は本当は認知症ではないのではないだろうか」

 そう信じたい気持ちはありながらも、叔母たちからの報告は決して良い内容ではなかった。

「好みの食べ物を準備していったら、やっと一口だけ食べたよ」「お風呂に入らないから、お湯を持っていって体を拭いたよ」「私の体の中からコロナが生まれて世界中に広がったから、世間に迷惑をかけていると言っているよ」

 何よりも、その年の前半に、早朝から深夜まで叔母たちに順繰りに電話をかけては「さびしい、さびしい」と言って切ろうとしなかったという母が、能面のような無表情でほとんど口を利かず、トイレまで小股で歩いて行くのがやっとだという報告は胸が苦しかった。調べた症状がぴったり当てはまっていたからだ。やはり、母はレビー小体型認知症だと認めるしかないのだろうか。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

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