著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

家族が認知症を発症したという現実を受け止められない

公開日: 更新日:

 先日、書籍を紹介するテレビ番組で有吉佐和子さんの小説「恍惚の人」が紹介されていました。

 出版時の1972年では珍しい、仕事と家事を両立させている女性認知症を患った舅(しゅうと)を介護する話で、タイトルが流行語にもなるほどベストセラーになりました。何度もテレビドラマ化されており、内容を知っている人も多いのではないでしょうか。

 当時は介護サービスや社会福祉制度も充実していなかった時代。しかし改めて、現代でも通じる介護の課題を浮き彫りにした描写が多いと感じさせられました。

 主人公の昭子は銀座の法律事務所で働いており、離れには舅が住んでいます。ある日のこと昭子が離れに行くと舅が「ばあさん(姑)がなかなか起きなくて。まったくばあさんはいつまで寝ているんだ」と言い、昭子はすでに亡くなり冷たくなっている姑を発見します。

 夜中にトイレに行きたいからと舅に外から扉を叩かれ、起こされた昭子がトイレに案内しようとするも、間に合わず庭で放尿するなど、本書は認知症が悪化する舅の様子を詳細に描いており、またそれに対する昭子の旦那と息子のそれぞれの様子も印象深く描写されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波