(19)このままでは共倒れ…解決の糸口がまったく見えない

公開日: 更新日:

 母が認知症であること、そして入院したことを受け入れられない父と、電話で話すたびに口論になった。やがて、私は父との連絡を避けるようになっていった。

 ある、冷たい雨の降る冬の初め。仕事中に叔母から電話がかかってきた。実家の庭には大きな柿の木があり、1年おきに柿の実がたくさんなる。落ちた実が庭を汚さないようにと、父は脚立を立てて柿の実をちぎっていたらしい。しかし、バランスを崩して転倒し、コンクリート部分に落下。頭から血を流しているという話だった。

 たまに実家の様子を見に行ってくれている叔母が、頭に血がこびりついている父を見て問いただすとそういうことだったらしい。「病院には行かない」とかたくなに拒否したが、説得して近所のクリニックで手当てしてもらったというのだ。

 私は困惑するしかなかった。東京からすぐに熊本の実家に帰れる状況ではなく、父自身が助けを拒んでいる。なにより、私にその出来事を知らせなかった。

 そんな折、さらなる知らせが届いた。母の病院に着替えを届けるなどのサポートをしてくれていたもうひとりの叔母が、脳梗塞の後遺症で倒れてしまったというのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然