著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がん手術「待てる」「待てない」の条件…佐藤B作さんは1カ月延期で切除範囲拡大

公開日: 更新日:

 私が自分で膀胱がんを見つけたのは18年12月9日で、手術日は19日後の28日です。年末の仕事納めまで待つのは問題ないだろうという考えでしたが、後から超音波画像の経過を見直すと、腫瘍は着実に大きくなっていました。

 一般に早期なら1カ月程度は手術を待てる可能性がありますが、その代表が胃がん大腸がんでしょう。どちらも早期は比較的治りやすく、ステージ1の5年生存率は9割を超えていて、早期の手術は内視鏡で済みますから体の負担も軽い。

 ただし、がんは進行するにつれて免疫が抑えられて、急に進行することもあるので、あまり先延ばしし過ぎるのは危険です。特に難治がんとして知られるすい臓がんや肺小細胞がんなどは、診断からすぐに治療に進むべきで、少しの猶予もよくありません。

 佐藤さんは術後に見つかった食道がんも、化学放射線療法などで完治。まったく検診を受けていなかったことを反省したのか、今は半年ごとに受けているそうです。仕事や生活と折り合いをつける治療のタイミングをうかがえるのは早期であればこそですから、この点でも読者の皆さんには1年に1回の検診をお勧めします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑