著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がん手術「待てる」「待てない」の条件…佐藤B作さんは1カ月延期で切除範囲拡大

公開日: 更新日:

 皆さんは、がんを告げられたらどう思うでしょうか。2007年に胃がんの宣告を受けた俳優の佐藤B作さん(76)が語った闘病記がネットで話題を呼んでいますが、両親とも脳出血で亡くしていたことから「がん家系じゃないのに」と意外に感じたそうです。さらに主宰する劇団の公演が真っ最中ということで、すぐに受けることを勧められた手術は、公演が終わる1カ月後に延期したといいます。

 一連の報道によると、当時はがん検診などをまったく受けておらず、友人の勧めで受診したら、ステージ1か2の胃がんが判明。手術を先延ばしにしたことで、3分の1切除を予定していた切除範囲は3分の2に拡大。術後に食道がんも見つかり、化学放射線療法などで完治したそうですから何よりでしょう。

 ここでポイントは手術の延期です。佐藤さんのような仕事をはじめいろいろな事情で手術を延期される方はいますが、がんのステージや種類によって対応できないケースもあります。

 がんの種類でいえば男性の前立腺がんや女性の甲状腺がんは治療を待てる可能性が高い。もちろんどちらも悪性度の高いタイプがあるので、病理検査が必要です。それで悪性度が低ければ、経過観察しながら必要なタイミングで手術などの治療に踏み切ることも可能です。特に前立腺がんは、その監視療法がガイドラインに明記されるほどで、結果として何もしないまま寿命を迎えることも珍しくありません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー