著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

長らく続くクスリの供給不足…治療に支障が出ないよう努力している

公開日: 更新日:

 ここ数年、医薬品の供給が非常に不安定になっています。私の記憶が確かであれば、4年くらい前から不安定になり、現在もその状況が続いていますし、むしろ徐々に悪化している印象すらあります。

 最初はバルク(クスリの原料や成分と考えてください)の品質の問題から始まり、その後、みなさんもご存じの新型コロナウイルス感染症が流行し、それに伴うクスリの製造ライン、流通への影響もありました。それ以外にも、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を例に挙げると、ある製薬会社の製品が供給制限・供給停止になることで、医療機関のニーズが同じ成分を製造している別の製薬会社の製品に集中し、結果として市場から枯渇してしまうといった状況もあります。

 もうひとつ、後発医薬品がかなり普及していたタイミングで現在の医薬品供給事情が起こってしまったということも、私は原因として挙げられると思っています。というのも、後発医薬品が普及し、その効能効果が先発医薬品と全く同じだった場合に先発医薬品はどうなるかというと、中には販売中止になるものも出てくるでしょう。これは企業としては当然のことで、売れないものをつくり続けても仕方ないわけです。そんな中、後発医薬品の流通に支障が出てしまうと、「先発医薬品に戻す」という選択肢がとれなくなり、より供給が不安定になってしまうのです。

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