奥さんが決断してくれた…元大関の小錦八十吉さん腎臓移植を振り返る

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日本の移植手術の技術は本当に素晴らしい

 今回の経験を通して言えるのは、先生方をはじめ病院の環境がとてもよかったってこと。アメリカでたくさん腎臓移植手術をした経験がある先生で、その道では世界一だと思います。武蔵川親方もそうですけど、体が大きい人への対応にも慣れているから何も問題がなかった。

 日本の腎臓移植手術の技術は本当に素晴らしいから、もっと世界中に知ってほしいと思っています。知られていないのはもったいないですよ。世界には腎臓が悪い人がたくさんいて、どれだけの人を助けられるかって考えると、もっともっとこの専門的な医師を増やして、海外から腎臓の悪い人に来てもらって日本が助けるってことになるといいなと、本当に思いました。

 透析は1回4~5時間かかるでしょう? 若い人は透析に通いながら仕事するなんてほぼ無理ですよ。じつは僕も手術の前に5日間だけ透析をやってみたのです。でも仕事は無理。だるくなる。アメリカの母親も透析して帰ってきたあとは必ずぐったりして横になっていました。後輩にも先輩にも透析している人はたくさんいて、みんな大変な思いをしています。

 夫婦間移植の体験をするにあたって、たくさんの人に出会いました。病気の悩みを、涙を流しながら話してくれたご夫婦もいました。感動したし、勉強になりました。

 腎臓の薬は一生飲み続けることになると思います。定期的に検査をして数値を見ながら減らしたり、増やしたりするのだと思います。本当に安定するのは来年の1月ぐらいじゃないかな。

 奥さんも元気で問題ありません。いつも「ありがとう」を言ってるよ。それは手術と関係なく、うちはアメリカンスタイルだから100%奥さんに優しい。そんなの当たり前でしょ(笑)。 (聞き手=松永詠美子)

▽小錦八十吉(こにしき・やそきち)1963年、米国・ハワイ州生まれ。82年に高見山にスカウトされ、同年6月に高砂部屋に入門。84年に新入幕、87年には外国人力士として初の大関昇進を果たす。94年、日本国籍取得、97年に引退。タレントに転向し、ミュージシャンとして活動するほか、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」などテレビ、ラジオ、CMに多数出演。相撲普及活動、ボランティア活動、イベントプロデューサーなど多彩に活躍中。

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