前年上回るペースの報告数…「梅毒」は女性患者の割合が急拡大
もうひとつの懸念が、都心部ではベテランの性感染症専門医の引退が進み、専門医療機関の閉院が相次いでいる点だ。
梅毒は世界的にも流行している。世界保健機関(WHO)によると、2022年の15~49歳の年齢層での梅毒の新規感染者数は800万人に到達。梅毒関連の死者数は23万人に達したという。最も増加したのが南北アメリカとアフリカだった。
米国では、2022年に新規感染者数が20.7万人を超え、3年前と比べて80%増加。先天性梅毒患者数も3700人超に達し、231件の死産、53人の乳児死亡が報告されている。
米国では性感染症専門医の減少と、検査体制の脆弱化による「医療崩壊」が梅毒流行に拍車をかけているとみられている。
「日本でもいずれ米国と同様の状況が現れる可能性がある。流行は今まさに始まったばかり」と語る尾上院長は、国民と医療界に対して梅毒流行阻止のための長期的・総合的な対策の必要性を訴えている。