(37)仕事と介護を両立させるために必要なこと
遠距離介護を経験する中で、この93日という期間は「介護の体制を整えるための準備期間」として位置づけられていると知った。母の異変に気づいて帰省し入院を決めたときや、施設探しを進めている現在のような状況が、まさにその対象なのだろう。
これとは別に、「介護休暇」という制度もある。こちらは短期の付き添いや通院などを想定したもので、要介護状態の家族が1人であれば年間5日、2人以上いれば年間10日まで取得可能とされている。
しかし、いざそのときになっても、何から手をつけてよいかわからないという人は多いだろう。介護離職を防ぐためには、制度や支援を活用し、仕事と生活を断絶させずに対応する工夫が必要だ。関係機関や勤務先に相談することも含め、早めに動き出すことが重要だと感じている。
なかでも、親が住んでいる区域の地域包括支援センターは、公的な相談窓口として制度やサービスの情報を得る際に役立つ。どのセンターが親の居住区域の担当なのか、場所と連絡先を調べておくとよいと思う。 (つづく)
▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。