新型コロナが休眠がん細胞を目覚めさせる…米国医師会雑誌で報告

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 新型コロナウイルスはどのようにして休眠がん細胞を目覚めさせるのか? この研究チームが可能性のひとつとして挙げたのが炎症に関わるサイトカイン「IL-6(インターロイキン-6)」だ。感染防御に重要な存在だが、同時にがん細胞増殖にも関わっている可能性があるという。

 新型コロナの流行期には、がん関連死が増加したことが指摘された。「新型コロナで医療機関の利用が制限され、発見や治療が遅れたため」との説明がなされたが、研究者はそれだけでは説明がつかない現象が多かったという。研究は休眠がん細胞が感染による炎症により目覚め、再発や転移を誘発する可能性を浮き彫りにした。しかし、研究者はこれはまだ確定的ではなく、他のウイルスやがん種でも同様のことが起きるかはこれからの課題だとしている。

「日本でも新型コロナ流行期には、診断から1年未満の血液がんや肺がんなど一部のがん患者さんは新型コロナ感染症にかかりやすく、重症化しやすいと報告されています。また、がん患者の入院・死亡リスクはそうでない人に比べて高かった。このことが根拠となり、がん患者さんへの新型コロナワクチンのブースター接種や早期治療の啓蒙につながったのです。新型コロナウイルスが休眠したがん細胞のスターターとなることが本当なら、新型コロナで亡くなった人の中には公表されたがん関連死以外にも未発見のがん細胞が感染により増殖したり、休眠していたがん細胞が再発・転移したケースも含まれていたかもしれません」(清澤院長)

 いずれにせよ、がん患者はもちろん、その予備群でもある年代は、新型コロナやインフルエンザなどの呼吸器疾患にかからないように努力することだ。

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